※サンプルです。




たった二人だけの会話を騒がしいと思うのは初めてかもしれない。鋭角を思わせる唇から静かに尖った声を出すだけだったティエリアはフェルトが食堂に入ってから三回目の返答で声量を跳ね上げ、一方それに対する甘く低い声は曲線を思わせる唇の薄い笑みから生まれている。何よりも興味深いイレギュラーは目の前の二人が最も至近距離となる位置――隣同士に座っていることで、ティエリアが何に関しても必要以上の接近を嫌がること、それから二人の前に並んで置かれている二つのトレイの残り具合から、一人で黙々と食事をとっていたティエリアの隣に臆することなく滑り込んでくるロックオン・ストラトスという映像をフェルトは即座に見出すことができた。


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